訪問看護の学び・研修

ある利用者さんのお宅に週3回訪問していた私たちです。
その地域は、古くから住んでいる人が多く、高齢者同士助け合いながら生活をしていました。

そんな中にいたからこそ、認知症がありながらも独居生活を送ることが出来ていた利用者。

そんなある日、ご近所さんからSOSの連絡が来ました。血だらけで倒れている!と。
私たちが駆け付けたところ、転倒し裂傷していたのです。幸いにも骨折もなくすんだのですが。

最近、痩せてきていたし、認知症が進んできたようだと注意していた矢先の出来事でした。

遠方に住む家族も月に1度は様子を見に来ていたのですが、息子の前では、少し正気になり母親の顔になってしまっていたんです。
そのため、息子も全く理解をしておらず、次の帰省時に話し合いをすることになりました。

帰省時には受診同行し医師の説明も受けました。その後、ケアマネや看護師を含め話し合いをすることに。

その話し合いが自宅であったのですが、複数人集まったため、ただならぬ雰囲気を感じ取り険しい表情の利用者でした。
利用者本人は「ここで生活をしたい」、それを聞いた息子は「母がそう言っているなら…」と全く話が進みません。

そんな時ご近所さんがたまたま様子を見に来たのです。いつものようにおかずを持って。
そこでこれまでの生活歴が明らかになりました。

息子は普段の生活を知らなかったので驚いていました。
それを機にこれからどうしていくべきかという話し合いがどんどんすすんで行きました。
そして結果的には、息子が定年するまであと1年であるため、いろいろなサービスなどでつなぎながら、定年後は息子夫婦が引っ越して介護するという結果になったのです。

今回は、息子も母親の身体が心配で将来的に地元に帰ってくることを想定していたため、スムーズに話が進んだ事例です。

ただ私たちは、どんな結果であれ家族が介護できる範囲でよいと思っていました。
そのためこの話し合いが行われるまで、きっと息子は施設の申し込みをして、利用者は施設に入るのだろうと思っていました。

しかし、ご近所さんの話を聞くと、利用者にとってもご近所さんにとってもよりどころになっていることがわかりました。
もしもこの関係が崩れてしまうと、お互いに認知症が進んでくるかもしれない。何より利用者はここで生活したいと思っている!

誰にとっても、困った時のよりどころがあること、また自分の居場所が確立でき、声をかけてくれる人がいることは嬉しいことです。
それが日々の習慣になっていると、今日もお互いに元気だと安心できるし、生活リズムも整うんです。

ご近所同士のつながりが強いからこそ自然とできる助けあいなのかもしれません。
そこに長年暮らしてきた生活者なのですから。訪問看護では、緊急時に駆け付けることはできますが、深く生活に入り込むことは難しいでしょう。

今回のケースを通して、認知症で独居であっても、必要なサービスを利用しながら住む環境によっては地域での生活を継続することが可能であること、また家族の正しい理解があれば今後の協力が期待できることを改めて感じました。

また今回、私たちの利用者は一人ですが、その地域に住む人は高齢者ばかりでもあり、地域医療にかかわる看護師として包括的に見ていく必要があると強く感じました。