訪問看護ステーションでの全体ミーティング

転倒する要因は年齢による身体機能の衰えや生活環境、認知度や薬剤の影響などさまざまなものがあります。
転倒すると骨折の危険性もあるので、転倒は一番避けたいものの一つです。その中で、私たちが実践している転倒予防のコツを紹介したいと思います。

私たちが訪問する利用者の中には立位になった時や歩き始めにふらつき転倒するというケースがあります。
仰臥位から端坐位、立位になった時にめまいやふらつきを訴える場合、加齢による平衡機能の低下や血圧の変動によるものが原因となることが多いです。

自分自身で注意している人は、起き上がり動作をゆっくり行い対処できるのですが、せっかちな人や認知症の方はいきなり行動することがあるので、ふらつき脚がもつれ転倒という場合もあり、転倒までいかないまでも柵やドアなどにぶつかり打撲痕ができることはよくあります。

自分のホームだからちょっとくらいのふらつきなら大丈夫という過信もあるため、注意不足も転倒の原因の一つとなっています。

しかし、転倒は危険であることには間違いありません。
そのため、私たちは一つ提案をしています。それは、動く前にちょっとだけ準備運動をすること。
準備運動というと、めんどくさくてできないという人もいます。

しかし、起き上がる前、立ち上がる前に少し体を動かすことによって、「これから動くんだぞ!」という身体も心も出動態勢になるよう準備することができるのです。

ベットから起き上がろうと思ったときの準備体操では、仰臥位で膝を立て、左右に倒す動作がおすすめです。
回数を決めてしまうとやらされた感が強くなるため、起き上がるときに膝を立て5回でもいいから左右に倒して膝や股関節周りをほぐすようにしましょうと説明します。

また仰臥位から端坐位になったときには、その場で足踏みをすることをおおすすめしています。
足踏みを数回するだけで足首やふくらはぎがほぐれ、血流がよくなることが期待できます。

立ち上がった時にめまいやふらつきを訴える人もいます。
そんな時には、立ち上がってすぐに足を踏み出すのではなく、一度立ち上がって座る。これを2~3回繰り返した後に歩き始めるとよいと説明しています。
意外にも、一回目の立ち上がりではふらつくけれど、それ以降は起立してもふらつかないという人もいます。

家族が同居しており、誰かの見守りがあるという場合には、私たちは上記で説明した準備運動を声かけしてもらいます。

しかし、高齢、独居の人も多いのが現状。一人だからこそ骨折につながる転倒を回避して、出来るだけ自宅で生活を続けていきましょうと声をかけるようにしていますが、始めはめんどくさいと受け入れが悪い場合も。

しかし、みんなやっぱり自分が一番大事。特に一度でも転倒を経験した利用者は、一人で気ままな生活を続けるために転倒には気をつけなければいけないと理解し、移動前に体を動かしてほぐすということを実践してくれるようになることも多いです。

転倒やそれによる骨折を予防しながらできるだけ在宅で生活を続けてもらうため、訪問看護師として転倒の要因をアセスメントして、リスクをできるだけ回避して利用者を見守り、サポートすることが大切だと思っています。その一つとして、今回の転倒予防のコツをご紹介しました。参考にしてみてください。