
訪問看護で伺うお家は、遠いところもありますが、やはりステーションから5キロ圏内の比較的近いところが多いです。
近いというところは、訪問時の移動時間が短い、緊急時すぐに駆け付けることが出来るなどのメリットがあります。
しかしデメリットも時にあるのです。
ずっと昔から住んでいる地元住民さん。
そのお宅に訪問の依頼があっていったとき、話をしていると「あれ?なんだか聞いたことある話だ・・・」と感じることがあります。
何回か訪問していているうちに、話がだんだんとつながってきて、
「あれ、私のお姑さんと知り合いなのか…」と気が付くことがあります。
また別のお宅では、珍しい苗字に、「○○看護師さんって、○○子さんとこのお嫁さんなの?」と聞かれたこともあります。
訪問看護では仕事をするときに個人情報の管理は大切ですし、敏感に反応します。
特に家庭の事情というのは、誰にも知られたくないこともありますから。私たちも始めのうちは、不必要に家庭環境に踏み込まず、相手の状況を見ながら徐々に情報収集をしていくということも多いです。
ただ利用者さんと看護師の信頼関係が出来ると、利用者さん本人からいろいろな話をしてくれることもあるので、その時期を待つということもよくあります。
しかし訪問している看護師が、自分のご近所さん、知人の身内だということがわかると、口を閉ざしてしまう利用者さんもいるのです。
それは介護を受けていることを知られたくないという意識の表れなのでしょう。
本来は、高齢になっても自宅で生活するために必要なサービスを利用するのは当然なのですが、やはり介護を受けなければ生活が出来ないということを知られるのは嫌だという利用者さんもいるのですね。
私たちもご近所さんであればとても気を使います。ご近所さんだからといって気さくに話しかけて来てくれるのはいいのですが、家庭環境を根掘り葉掘り聞いてくる利用者さんもいるので、仕事もやりにくくなるというのが正直なところ。
そのような状況を踏まえ、私たちのステーションでは訪問先を調整するようにしています。
ステーションには8名スタッフがいるのですが、やはり知人やご近所さんとつながりある看護師は、なるべく訪問回数が増えないように割り当てています。
それはお互いに気遣いなく接するようにするための配慮なのです。
やはり私たちは看護師。あくまで決められた時間内でサービスを提供する立場です。
そのためには、時間内でのご近所の世間話的なことは少し避けて、アセスメントに役立つ情報を収集したいと思っています。