
訪問看護師としてうかがうお家は、核家族もあれば大家族もあります。
また独居老人宅もあれば中年ニートを抱えた老々介護を行う家もあります。
どんなお宅でも、訪問看護の依頼があった場合は、まず自宅の様子をうかがうために、実調を行います。
これは看護師としてお宅を訪問し、生活環境を知り、どんな風に介入を進めていくかを考えるために必要なことです。
またこれをもとに、看護師として生活環境を整え、安定した生活を送るために何が出来るかを利用者さんやケアマネに提案することもできます。
実調をするときの大切なポイント
このほかに実調をするときに大切なポイントがあります。
それは看護師一人で訪問しても安全かということを見極めることです。看護師が一人で訪問するには危険かも…
と思われる場合は、始めから了承を得て看護師二人対応にすることもあります。
訪問時の安全性を見極めることは、重要なことなのです。
訪問看護でセクハラ?かと思われた事例
今日ご紹介するのは、娘夫婦と住む男性利用者さん。日中は家族は仕事でいないため、一人で過ごしています。
認知症もありましたが、危険行為はなく穏やかでおとなしい感じでした。
年齢は80代で脳梗塞後で少し片麻痺のある人でした。私たちは1時間未満でサービスを提供していましたが、まさかこの人が問題行動を起こすなんてノーマークだったのです。
私たちは訪問時状態観察や服薬、また保清などを行っていました。
そのお宅に一人の40代の看護師が訪問した際、ある問題が発生しました。それは看護師が帰る時に玄関に向かって歩いていると、利用者さんが後ろから来て肩を抱こうとしたというのです。
何となく気配を感じた看護師は、後ろを振り向いたので事なきを得ましたが、
実はこの看護師、この利用者さんから、以前にもセクハラめいた発言を受けていたことがわかりました。
そのような事例があった時には、ケアマネージャーに連絡し、今後の対応を相談します。家族にも了承を得て複数での訪問に変更することもあります。
セクハラ?を受けた今回の訪問看護の対応策とは
今回の場合も、この問題以降は複数訪問を実施するようになりました。
ただこれまでの経過のカルテを見てみると、なんとこの看護師が訪問した際、いつも利用者さんの血圧が高く、脈が速いことがわかりました。
ほかの看護師の際には、全くそのようなことはありません。つまり、そのバイタルサインの変化から、セクハラを受けそうになった看護師はこの利用者さんの好みではないか?ということがわかったのです。
この一連の出来事から複数訪問の際も、この看護師を外し、現在も訪問を続けています。
このように見直してみるとちょっとおかしいなということがバイタルサインからも読み取ることが出来ることがわかりました。
今回は、あくまでも一つのケースですが、危険を回避し安全な訪問を続けるために、実際に訪問看護に携わっている人のちょっとした参考になるとうれしいです。