訪問看護の家族対応・家族フォロー

訪問看護師は多職種連携が重要だとよく言われます。
そして実際に、包括支援センター、ケアマネ、病院や施設、介護事業所などと連携をとることも多く、仕事上かかせません。

しかし最近、地域に根差した活動をされている地域住民のことをもっと私たち訪問看護師も知るべきだなと思ったことがあるのでご紹介したいと思います。

妻に先立たれて高齢男性の一人暮らし…生活は?

地域にある包括支援センターには、家族や親族、住民、民生委員等からさまざまな情報、相談が寄せられます。
そんな中に多いのが、妻に先立たれた高齢男性の一人暮らしについてです。

もちろん認知症がすすみ、一人での生活は困難という場合は、すぐに介護保険の手続きをして何らかの支援が受けられるよう手続きをすすめていくことも多いです。
しかしまだまだ自立した生活が出来ているという場合、すぐに何らかの支援が受けることができるわけではありません。

少し様子を見るということになりますが、その間にどんどん生活がすさんでいく可能性もあります。

そんなとき誰が見守り、手をさしのべるのでしょうか?
もちろん民生委員や包括支援センターの方たちも注意しています。

しかしそれだけでは十分ではないことも少なくありません。

もっと地域に根差した活動をしている住民を探そう

妻に先立たれた高齢男性の住んでいる地域はどんなところでしょうか?
さまざまな地域住民による活動が行われているところでしょうか?

ある地域では、70代未亡人の女性が、独居の高齢男性を対象にお味噌汁教室を開催しているところがありました。
独居の男性が一人でご飯を作って食べるということは簡単ではありません。

糖尿病や高血圧等生活習慣病があっても、どうしてもコンビニ食が増えてしまいます。
これまでの食生活や食へのこだわりから、配食サービスがうまくいかないことも多いですし、アルコールばかり飲んで食事はとらないという人も多いです。

このような高齢男性を公民館に集めて、お味噌汁を作る教室があったのです。
お味噌汁は一度にたくさん作ることができます。また具材をたくさん入れれば、それだけで必要な栄養素が取れることもできます。

そのためお味噌汁さえ作ることが出来たら、ある程度の食生活を保つことができるというのが狙いです。

また引きこもった生活ではなく、定期的に外出する機会を持つことができますし、地域にする同じような独居の高齢男性の知ることによって結束力を高めることができるともいいます。

ただ男性にこのような場に来てもらうことが一番大変なようです。

今の高齢男性は本当に一生懸命働いてきた年代で、自分の住んでいる地域へあまり目を向けてこなかったという人も多いです。
また男性が地域の活動に出ていくことを恥ずかしいと思い、呼びかけても世間体を気にして参加に消極的な人もいるようです。

そこを根気よく声掛けをし、無理強いせず見守る。
態度が柔和になった時に、上手く参加を促すという方法で、その女性は地域の高齢独居の男性をサポートしていました。

一度参加してしまえば、毎回参加する男性もいます。
反対になかなか馴染めないという男性もいました。

ただこのような活動を地域でしていることがわかると、私たち訪問看護師も利用者さんに声をかけるきっかけにもなります。
在宅で生活することは、地域に根差して生活することなので、私たちも利用者さんが住む地域でどんなことが行われているのか知ることも大切だなと思った事例でした。