訪問看護の確認項目

私たち訪問看護師が訪問するお宅は、独居の方も多いです。
田舎暮らしで昔から玄関に鍵をかける習慣がないという人もいれば、防犯対策のために必ず鍵をかけるという人もいます。

私たち訪問看護師は、基本的には鍵を預かることはありません。しかし、利用者の希望によって鍵をお預かりする場合もあるのです。そんな鍵にまつわる話をご紹介します。

キーボックスの暗証番号を教えてくれとせがむ利用者

独居の利用者本人から鍵を預かることもありますが、家族と同居だけれど、日中は不在にしてしまうことから家族から鍵を預かることもあります。
その場合は、カルテに保管したり、事業所の鍵庫に保管しています。

しかし私たちに鍵を全面的に預けるのは不安という人は、玄関近くに暗証番号で施錠出来るキーボックスを設置している場合もあるのです。

そんなお宅でのエピソード。認知症で独居の利用者だったのですが、家族がキーボックスの暗証番号を教えてくれないから困っている、
ゴミ出しにも散歩にも行けない…ということを何度も私たちに訴えるのでした。

私たちも決して本人には伝えないように言われていたので、利用者に伝えることはありませんでしたが、気になればなるほど聞いてくるのが認知症でもあります。

そのため、鍵に関する話題が出てきたらなんとか別の話題に気をそらしたり、キーボックスのことを決して話題に持ち出さないようにコミュニケーションをとるのが大変でした。
そのうち認知症がだんだん進んでしまい、キーボックスの話題は出なくなりましたが、やはり自分の家の鍵のことを何も知らない、鍵をかけられていることは閉じ込められていると同じという不安を持っている利用者にとってはキーボックスは最大の関心であることを身をもって知りました。

鍵の定期的に点検が必要

鍵を預かっているけれど、ほとんどの場合開錠されているので預かっている鍵を利用したことはないという場合もあります。
しかしいざという時にその鍵で開錠できるかどうかを定期的に確かめておく必要があります。

ではどんなタイミングで確かめるべきでしょうか。
それは地震や暴風があった時。地震があった時には、ものが落ちたりする被害がなくても、建物のゆがみが発生することもあります。そのため玄関ドアは閉まるけれど、肝心の鍵が回らないということがあるのです。

私たちの訪問先では、地震の後に鍵の確認をして回らなかったので鍵の交換をした例もあります。
そしてその数日後、具合が悪くなって緊急訪問したときにその鍵交換をしていたため、事なきを得たということもありました。

鍵というのは一度作ったら安心ということはありません。そのため定期的な確認が必要だと実感しました。

私たちが鍵を管理している利用者の割合は、約2%程度です。決して多くはありませんが、鍵を預かる以上責任があるので管理には十分に注意が必要ですね。