
ある利用者は、動くとすぐに息切れがするの…とよく訴えていました。
基礎疾患で肺の部分切除術の既往もありました。
また肥満傾向、また加齢による体力の低下もあったので、息切れを訴えることは、仕方がないと私たちは思って接していました。
利用者の家族とその状況
その利用者には、2人の息子がいました。
ともに世帯を持ち、時々利用者の様子を見るためにやってくるという状態です。
その中でも長男夫婦は月に一回程度しか訪れなかったため、あまり利用者の状況を把握できていませんでした。
その反対に次男は週に2回は訪問していたので、体調の変化にもよく気が付いていました。
利用者家族の訪問看護師への対応
利用者の息切れについて、あまり状況を知らない長男は何かと過剰に反応していました。
「息切れがするの…」という訴えがあると、すぐに訪問看護ステーションに連絡があり、次の訪問時によく見てほしいと依頼がありました。
ただSpO2は問題なく、顔色も良好、息切れも悪化しているわけではないし、日常生活に影響を与えるほどのものではないため、その都度経過観察をしますねと報告をしていました。
一方で次男は息切れがすることに対して、あまり大げさにはとらえず、少しでも体力がつくように一緒に散歩をしたり、気分転換に買い物に連れ出すなどの配慮がありました。
そんな長男は過剰に反応しては、「大変だ!病院に行ったほうがいいかな?」と思うけれど、
自分は病院に連れていくことが出来ないので嫁に病院に連れて行くように頼んだり、利用者の息切れに左右されっぱなしでした。
そのせいで、自分自身も疲れ切ってしまい、長男夫婦の仲も悪化。そのため、利用者宅から足が遠のいたこともあります。
まとめ
これはほんの一例ですが、「家族が利用者の訴えに左右される」ことは比較的よくある事例です。
特にあまり訪問頻度が高くない家族ほど過剰反応を示すという傾向があります。
本来は、いつもの様子を知った上で対応することが一番重要だと思うのですが、
やはり家族にも事情がありますし、何から何まで把握しておくということは家族といえど簡単ではありません。
近い関係だからこそ、見えないしわからないこともありますから。
ただ、すべての訴えを間に受けてしまうと家族が介護に疲れ切ってしまうこともあります。
また介護疲れが家族の仲を悪くする原因になることもあります。
・いつも同じことを言うのはなんでだろう?
・認知力はどうなのかな?
・不安なことがあるのかな?
といった、訴えの背景にあるものをとらえ、そのうえで解決策を考えることが重要です。
そんな時にこそ上手にサービスを利用してほしいですね。
家族にとって適度に介護をしていくというのが在宅生活を継続させる上で一番良い方法だなと日々感じています。