訪問看護の学び・研修

日々の業務をこなしていると、やらなければと思っていても避難訓練や災害訓練を行う機会は少ないと思います。
特に訪問看護ステーションでは、事務所にいるのは看護師やケアマネ、事務といったスタッフのみ。

肝心の利用者は在宅にいるので、避難訓練や災害時訓練といってもなかなか実感は伴わないものです。

在宅で呼吸器をつけながら生活する時には、本人はもちろん家族もそれにかかわるスタッフもさまざまな知識や経験が必要です。
在宅での生活が安定していても、いざ災害が起こった時どうしたらいいかということはなかなか想像することが出来ません。
もちろん、呼吸器をつけながら生活していると、緊急時には誰か助けを呼べばいい?救急車を呼べばいい?と思ってしまいます。

しかしながらいざ災害が起こると、電話もつながらない、救急車も呼べないということもありうるし、実際はパニックになってしまうことが多いでしょう。

以前、看護師が介護タクシーのドライバーとして働くことを紹介したとき、呼吸器をつけながら在宅で生活する人が病院受診をするときのお話をご紹介しましたね。
そのような定期的に車いすに乗せる機会に、家族も看護師もどのように対応すればいいのかをシミュレーションしているのです。

例えば、呼吸器の外部バッテリーは、いつでも使用できるように充電しておかなければいけない、家族もアンビューバックなどを使うことが出来なければいけません。
しかしいざというときにしようと思っても、なかなか体は反応しません。

そのため定期的に車いすにのせたり、介護タクシーで移動することで、ベットから車いすへの移動の仕方、呼吸器を車いすへ取り付ける方法、吸引器の置く場所、酸素ボンベの取り扱い方、また自室から外へ移動するルート、スロープの降り方などを訓練することができるのです。

定期受診のための予定外出では、何日も前から準備を始め入念にチェックすることが出来ます。
時には、ほとんど使用しないからといって、家族がレンタルのスロープを返却していることもあり、慌てて手配することもあります。

家族によっては、老々介護、経済的な問題などもあるので車いすの移動訓練や外出訓練ができるわけではありません。しかし何かあった時に必要なことをみんなで認識するためにはとても重要だと思います。

またこれらの一連の動作は、家族、看護師、呼吸器の業者、時には医師も同席して行います。なかなかできないチャンスなので、みんなが真剣に取り組みます。
呼吸器を装着しており会話はできない利用者さんでも、いつもより頻脈になるため緊張しているのがわかりますよ。

定期受診も含めて、普段から移動をしていると、やはり何かあった時に私たちも少しは対処できると考えています。
もちろんスムーズにいく家族だけではありません。何か一つするにも、アラームが少しなるだけでもパニックになってしまう家族もいます。

また移動できるほどの状態ではない利用者さんもいます。そのため、皆が災害訓練できるわけではありませんが、やはり対策を考えておくというのは大切だなと思っています。
また家族にとっても、避難訓練や災害訓練は、いざというときのためとても重要だと思っています。