
私の働く訪問看護ステーションでは、実習生を受け入れています。
1クールが4日間という短い時間ですが、訪問看護師の車に乗って同行し、実際の利用者の在宅生活を見て学習してもらいます。
これまで病院で実習を受けてきた学生にとって、在宅という場はとても刺激的であり、実り多い実習になると学生は言います。
この同行する車の中は、密室。他の看護師や学校の先生に聞かれることのない空間なので、学生といろいろな話をすることが出来ます。
その中で必ずといっていいほど出る話題が、「学校を卒業したら、どんなところに就職をするのか?」ということ。
この質問で、訪問看護ステーションに就職をしたいですと聞いたことは残念ながらありません。総合病院などに就職をしたいという答えがほとんど。
当然ですね。私も新卒の時にはそう考えていましたから。
看護師が総合病院を選択する理由は、次のようなものがあげられます。大きな病院ほど複数の看護師を採用するため就職しやすい、また学校に就職情報が来るから。
実習で地元の総合病院を訪れたことがあるから。教育システムが整っているから。将来的に認定看護師等を目指したいからという理由があげられます。
地方の訪問看護ステーションは、小さな事業所が多く、複数人の看護師を一度に採用することは少ないのが現実です。
またハローワークや求人情報サイトなどには求人を出しても、学校に個別に看護師募集の案内を出すことはほとんどないでしょう。
しかし、新卒ゆえに訪問をやりたいと熱意だけをもって飛び込むことだってできると思います。
実際に訪問看護ステーションによっては、入職してからの教育システムを整えているところもありますから。
私の訪問看護ステーションでも、まだ経験の浅い看護師が入職したときには、1年間所長とペアを組んで訪問を重ね、どんどん成長したケースもあります。
それでも学生は病院を選択することがほとんど。短い実習の中で確かに訪問看護師になりたいと思うことは少ないかもしれませんね。
圧倒的に病院実習が多いですから。また患者さんが多い分、知識や技術を身につけやすいですから。
ただ知っておいてほしいことは新卒でも、訪問看護ステーションに就職できないわけではないということ。また若手の訪問看護師がいないので、新卒看護師歓迎ムードすらある訪問看護ステーションもあるということなのです。
これからは、日本の高齢化も加速していきます。団塊の世代が75歳を迎える2025問題や高齢者人口がピークになる2040問題を前に、在宅医療は必須不可欠となります。
その時には、訪問看護師が利用者の在宅生活を支える重要な存在であるということを今から考えておいてほしいですね。
そして、自らが訪問看護師として在宅医療にかかわるという選択肢もあるということを検討してほしいなと思っています。