訪問看護ステーションでの全体ミーティング

私たちは在宅看取り希望と依頼を受けて訪問看護サービスを始めることがよくあります。

事前に利用者の情報をもらいますが、実際の初回訪問で、利用者の状況を把握・アセスメントした時、聞いていたよりも状況は思ったより良い、
もしくは深刻だなと思うことがよくあります。

状況が思ったよりも良い、ということは家族にとっても良いことです。
少しでも長い間自宅で家族一緒に過ごすことができるからです。
私たちはその生活が少しでも続くようにサポートしていきます。

反対に困ったことは、状況が思ったよりも悪い時です。
退院した時点で、もしかすると今日にも…と思ってしまうこともあります。

いずれの場合でも、家族に病院からどのように説明を受けていますか?
もしも急に状況が悪くなっても、最後まで自宅で看取るということで変わりはありませんね?と初回訪問時に再確認しておきます。

その上で何かあっても救急車は呼ばないこと、緊急時は訪問看護に連絡することをお願いしています。
しかし、まれに急変により家族が混乱し救急車を呼んでしまうことがあるからです。

在宅看取り希望なのに救急車を呼んでしまった…

以前、在宅看取りを希望していたのに、救急車を呼ぶということがありました。
その原因は、家族間での看取りの意見が統一されていないからです。

医師からの病状説明は、なるべく家族複数人で聞き、状況を共通認識し、今後のことをよく話し合って決めることが大切です。
しかし、医師の話を聞いたのは主介護者である配偶者だけ。

他の家族には主介護者から病状や余命などを伝えただけで、その後十分な話し合いがされていなかったのです。

主介護者である利用者の配偶者は、在宅看取りをしたいと覚悟を決めているので、ある程度余命は理解している…。

しかし、その子供や親戚たちは、まだ大丈夫なんだろう?すぐには亡くならないであろう?と、あまり深刻にとらえていないことも少なくありません。
特に、利用者が会話ができる、少しながらでも食事ができる、トイレに行くことが出来る場合は深刻にとらえていない場合が多いです。

急変は十分にあり得るといわれていても、利用者を見て全く死へ向かう現実味がない場合、もしもの時に主介護者以外の家族が救急車を呼んだほうがいいと意見を出し、
主介護者もその意見に押されて救急車を要請してしまうこともあるのです。

そのため、私たちは訪問の度に、今はこのような状況ですと現状を説明をすることを心掛けています。

その上で努力呼吸や無呼吸があるので注意して様子を見てくださいねといったお願いをします。

死はまだまだ先だと考えている場合、現状をなかなか受け入れられないのは当然です。
しかし、少しずつ状況を把握し、心の準備をしておくことは大切なことです。

そのため家族全員が同じように今の状態を認識できるように説明することもわたしたちの大切な仕事の一つだと思っています。
その上で、何かあった時にはすぐに訪問看護に連絡をくれるよう電話番号の確認や電話の短縮ダイヤルなどのシミュレーションしておくこともあります。

在宅看取りを覚悟して退院してきても、いつ最期の時が来るか予測できません。
また家族にはそれぞれの形があり、皆が同じ意見を持つことも簡単ではないでしょう。

しかし利用者、介護者、家族みんなが穏やかに最期を迎えるためには、家族の気持ちに寄り添いながらサポートしていく必要があると日々感じています。