
訪問看護師のユニフォームといえば、ジャージやポロシャツなど、伸びがよく動きやすいのが定番です。
病院が母体にあるような訪問看護室になるとユニフォームもクリーニングサービスがあることもありますが、小さな事業所になると、各自で洗濯ということも少なくありません。
また事業所に洗濯機を設置し自分たちでまとめて洗濯するというところも多いのではないでしょうか。
訪問看護師の中には自宅から直行直帰で仕事をする人もいるでしょう。
特に最近は感染対策で密を避ける、職員同士の接触を出来る限り避けるという目的で直行直帰を推奨しているところも少なくありません。
そんな時には、ユニフォームは必然的に自宅で洗濯をすることになりますね。
そこで最近、利用者から指摘されたユニフォームの匂いの問題をご紹介します。
訪問看護師のユニフォームの匂いで吐き気が誘発された利用者様
私たちの訪問看護ステーションに、ある利用者からお願いの電話がありました。
「病気のせいで最近は匂いに敏感になっている。だから看護師の制服の匂いがとても気になるの…」と。
よく話を聞いてみると、病状が進行し、匂いに誘発されて吐き気がすることもあるそう。
柔軟剤の匂いが気になる利用者様
そして柔軟剤の匂いが要因の一つだというのです。
洗濯をするときには、洗剤だけを使用する人もいれば、柔軟剤を使用する人もいます。
特に柔軟剤は購入するときに迷ってしまうほどたくさんの種類があり、匂いが残るものも多いですね。
匂いの感じ方には個人差があり、人によっては頭痛や吐き気を起こすので香害と呼ばれることもあるほどです。
私たちの事業所でまとめて洗濯をするときにも、柔軟剤を使用していました。
しかし問題となったのは、直行直帰する看護師、つまり自宅で洗濯をする看護師の制服だったのです。
しかし、事業所が洗剤の種類や匂いの程度をすべて管理するわけにはいきません。
まずは、事業所での柔軟剤の量の見直しをはかりました。
そして自宅で洗濯する場合にも、匂い残りに気をつけましょうという通達をだしたのです。
訪問看護師のユニフォームの匂いが利用者に与える影響
これまで、私は訪問看護ステーションで数年勤務してきましたが、私たちが利用者宅の匂いを気にすることはあっても、自分の衣類の匂いは意識したことがありませんでした。
そして、その匂いが与える影響も考えている事業所は少ないと思います。
匂いというのは感覚的な問題です。個人的に好きな匂いというものもあるでしょう。
ただいつも慣れた匂いに対しては無自覚になることが多いです。
しかし今回の事例を通して、自分が無意識でも、利用者はとても敏感に感じること、もしかしたら相手に不快感を与えていることもあるかもしれないことを自覚しました。
今回のケースは柔軟剤を見直す対策で解決できた事例ですが、
もしかすると、匂い問題から「この看護師だけは出禁に!」といった大きな問題に発展した可能性もあります。
また利用者からの指摘で浮き彫りになった問題ではありますが、「訪問に来てもらっているのに…わざわざ指摘するのも申し訳ない」と感じている高齢者もいるかもしれません。
匂いはなかなか自覚できない問題です。
そして相手にも伝えることが難しい問題でもあります。
だからこそ、もう一度よく考えてみないといけないなと思った事例でした。