
受診するたびに悪化するってどういう意味?
ある脊損の利用者には、骨まで見える臀部の褥瘡がありました。
私たちは医師の指示をうけ、毎日訪問をし褥瘡処置を実施していました。
軟膏やガーゼ、フィルムを利用し、徐々に改善が見られるですが、なぜだか通院日の翌日は褥瘡の状態が悪い。
なんでだろう?
通院して診察を受けて、ドレーン交換や洗浄、時にはデブリも受けており、状態が良くなっていてもよいのでは?
しかも軟膏やガーゼ、フィルムやテープは同じものを使用するのに…と不思議に思うことがありました。
その原因は一度診察に同行して判明しました。
悪化する原因は処置の方法が異なっていたからだったのです。
手技の統一は重要であることを実感
私たちは褥瘡の深さ、浸出液の多さなどを考慮して、使用する薬剤(メイスパン)の量を決めていました。
またガーゼを詰め込んだり、あてたりしておしりの形に合わせて丸みが出るようにテープ固定をしていました。
その利用者の生活習慣や行動範囲を把握、アセスメントしてし、ガーゼの当て方、テープの張り方など一番良い方法を実行していたのですね。
そして手技の一つ一つを、全員が同じようにできるように細かく処置手順を決めていたのです。
しかし病院では、やはりガーゼの当て方やテープの貼り方が異なっていたのです。
そのためテープがずれてしまったりガーゼがしっかり当たっていなかったり。
また移動中にテープで皮膚が引っ張られて表皮剥離することもありました。
一度褥瘡とその周りの皮膚が悪化してしまうと、
病院受診までに回復するのですが、また受診の時に少し悪化するということを繰り返し、褥瘡が改善するまでにかなりの時間を要してしまいます。
特に骨まで見える褥瘡なので、先が全く見えない状態。感染を起こさないように、そして悪化しないように一進一退を繰り返していたのでした。
そんな状況を改善するために、状況報告を兼ねて私たちがいつも行っている方法を病院にFAXしたこともあります。
医師の指示はベット上安静でしたが、実際は独居であり、趣味も多彩、そのため車いすで過ごす時間が多い生活習慣なので、それに合わせて固定の方法を決めているということも説明しました。また私たちが利用者の受診に同行したこともあります。
しかし忙しい診察の合間に医師が個別性に合わせた手技を実施するのは難しかったのかもしれません。
そのため、医師の訪問看護師の間でなかなか統一した手技をすることが出来ませんでした。
結局褥瘡は改善することはありませんでしたが、この事例を通して連携を図ることの重要性を再確認しました。
褥瘡はすぐに解決できる問題ではありません。
異なる機関や事業所で統一を図ることって簡単なことではありませんが、生活習慣を踏まえた継続的な支援が必要だと痛感した事例でした。
私は訪問看護師になって「ここまでひどい褥瘡ってあったのか!よくこれで自宅にいることができるなあ」と思った褥瘡事例でした。
脊損があり、感覚麻痺がありため褥瘡の自覚がない。ということに踏まえ、糖尿病のコントロール不良が根底にある事例でもあるのですが、
医師と連携を取るのは難しいなあと思ったケースです。