
訪問看護師をしていると、利用者宅でテレビを見ることがあります。
例えばテレビが大好きな人もいれば、寡黙な利用者で沈黙は耐えられないからテレビの音が欲しいとつけているという人もいます。
私たちは集中してケアにあたっていますが、ひと段落ついたときや手足のマッサージをしているときのちょっとした時間に一緒に見ざるをえない状況の場合もあるのです。
そんな時困るのがテレビに放送される内容と話題です。
食と訃報の話題は出てほしくない!
例えば経管栄養や胃ろう注入を行っている利用者宅でテレビを見たときがあります。
意外と料理やレストラン取材の話題って多いのです。
食べることが出来ない人に、「おいしそうですね」なんて話をするのは、気が引けます。
また糖尿病や高血圧といった生活習慣病の利用者です。
意外にもグルメでおいしいものが大好きという人が多いです。
しかしこれ以上食生活が悪くなれば、腎機能や神経障害にも影響が出るから、医師から厳しく注意されている場合も多いです。
でもそんな利用者に限って、食に関する番組って好きなんですよね。
そんな利用者宅で食に関する番組を見たとき、どう反応していいのかわからないことがよくあります。
きっと食べたいと思っているよな、食べられないのにこんな番組見るのは酷だなと思って、番組を変えたくなる衝動もわきます。
更に末期がんの利用者訪問の際に、芸能人のがんの訃報が流れることもあります。利用者は意外にもあっさりしていることが多いのですが、私たちのほうが気を使ってしまいます。
私たちはこのような訪問時の番組内容に困ったということを事業所で話をすることは少なくありません。困ったなあと思うことは、意外とほかの看護師も同じく考えているので、お互いに安心することが多いです。
そして2カ所の訪問看護事業所が入っている利用者宅もありますが、テレビに関する話題でお互いに困っているということがわかり盛り上がったこともあります。
テレビ番組の内容でメリットも
ただ困るなと思うこともありますが、良かったと思うことも多々あります。末期がんであまり食べられない人が、これを食べたいなあといったりします。
さらに嚥下障害があり嚥下訓練中の利用者が、このゼリー食べたいと教えてくれたり。更にいつも気難しい顔をしている人が、お笑いなどを見て声を出して笑ったり・・・新しい利用者の気持ちを発見をすることもあるのです。
そんな時には、番組内容の気まずさの中に、ケアに活かすことのできるヒントも隠されている場合があるので、私たちはテレビも侮れないなあと思います。
訪問看護師であれば、こんな経験一度はあるのではないでしょうか。