
小児患者の受け入れをしている事業所は、
まだまだ、少ないものの
昔に比べ、生まれつき難病であったり
医療依存度が高い子であっても
在宅で過ごすことが可能になってきています。
小児患者を受け入れる家族に与える影響とは
しかし、小児患者を受け入れると言う事は、
その家族にとても大きな影響がある事は容易に想像かできます。
特に病児に兄弟がいれば、その兄弟も成長過程なので
精神的にも大きな影響があります。
病児が入院した場合の兄弟への影響
病児が入院している間は、
一般的にどの病院でも親の付き添いが必須となります。
そうなると、多くの場合、母親が病児に付き添う生活を強いられてしまいます。
その病児の兄弟は、母親や兄弟と離れる事になり通常とは違った生活サイクルを送ることになります。
これまで、様々なご家族とかかわらせて頂きましたが
病児の兄弟が環境の変化からストレスを感じて
食欲がなくなったり
情緒不安手になることや
母親に甘えたい欲求が増える場合も
母親に近づけなくなる場合も見てきました。
病児の両親にとって病児もその兄弟も同じく大切な存在ですので
親も精神的にも身体的にも辛い状態に置かれることもあります。
両親の考え方や状況、兄弟の年齢にもよりますが
病児の状態については理解できる範囲で説明をしてあげる事や
病児と、どの様に関わっていく事が、
その兄弟のためにいいのか
長期療養になる事が予測される場合には
早期に両親で話し合う事が重要です。
病児の在宅療養のサポート
入院中から病児と家族は、
様々な問題を乗り越えて在宅療養に移行していきます。
家族にとっても、病児にとっても
家族が揃って家で生活できるという事は
大きな望みであると思います。
とはいえ、在宅療養は長期に渡ります。
病児が安全に生活するために
使える社会資源を導入しながら
病院と連携してサポートしていきますが
病児を支える家族が
看護や介護を生活の一部として受け入れつつ
その人らしい生活を
送れるようにサポートする事は訪問看護師の重要な役割です。
在宅に戻った後
病児を受けいれる家族の不安
家族は大きな責任と不安を感じます。
一緒に暮らせる喜びもありますが
「緊急事態が起きたら、対応できるのだろうか」
「何か見逃していたらどうしよう」
などの不安を感じています。
訪問看護の病児の家族ケア
不安軽減のためにも訪問看護・介護の導入ケアの指導やフォローは欠かせません。
さらに、家族がその人らしく生活を送れるようなフォローアップも重要です。
病児の家族ケアの具体例(進め方)
実際に、関わらせて頂いたご家族の事例ですが
生まれつき病気を抱えて生まれた病児と妹を
育てているご家庭がありました。
お母さんは責任感が強く、ご自身が風邪をひいた時に
病院にかかるために外出する事でさえ
罪悪感を感じていました。
家事や育児に加え、病児のケアに追われ
心身の負担を感じやすい上に
病児に対する責任を感じやすい
お母さんは多いです。
そういう時に「罪悪感」を感じなくていいですよ
とお伝えしています。
生活していれば、数時間の外出をしなくては
ならない時も出てきますので
信頼関係を構築していき「任せても大丈夫」
だと感じてもらえるような介入をして行きます。
最初は、まず1度、訪問看護がきている時間に
「少し外出してみる事から初めてみましょう!」と提案します。
「外出しても大丈夫だった」という経験をしてもらう事で
ご家族の生活に幅ができますし、漠然と思っていた不安を解消していけます。
訪問看護によって、安心して預けられる時間を確保する事が出来ていきます。
家族の社会資源を使う事への理解が大事
在宅での療養に慣れ、「訪問看護などの社会資源に頼ってもいいのだ」
と安心できたのでしょう。
ご家族から、妹の長期のお休みに旅行に連れて行ってあげたい
という相談がありました。
病児も連れていければ良いですが
連れて行ける状態ではなかったので
どうすれば良いのかという相談でした。
病児がいるから〇〇が出来ないという事は
兄弟を育てるにあたって葛藤があったようです。
休みにどこか連れて行ってあげたいというのは
親心として当然だと思いますし
24時間看護・介護をしている御家族の
急速にも繋がると思い、ケアマネ等と連携してショートステイが
可能な施設を探してもらいました。
そういう時、安心して預けられる場所がある事
「頼ってもいい」という事を伝えてあげる事
他職種と連携してサポート体制を整える事が
家族の心身のフォローに繋がります。
最後に
まだまだ、地域によっては病児の受け入れが
整っていないところもありますが
家族揃って在宅で過ごせるように
サポートしながら
病児の成長過程を見守れるのは
在宅小児看護のやりがいでもあります。