
訪問看護は在宅で療養される方のためのサービスです。
急性期を抜け、自宅に帰られるまでに病状が安定した方や疾患がありながら生活をしている方、日常生活の援助が必要な方など様々な介入をしています。
訪問看護ステーションにもよりますが、オンコール体制(24時間の緊急電話対応)をとる事業所が多くなっています。
そこで今回は、オンコール体制の大変さ・やりがいについて記事にしました。
訪問看護ステーションがオンコール体制(24時間対応)をとる理由
それは、ケアマネジャーが24時間対応をしている訪問看護ステーションを探している場合が多いからです。
利用者を確保するのは訪問ステーションにとても大事な部分です。
そのため、ケアマネジャーの要望に沿う形になるように、小規模の訪問看護ステーションでもオンコール体制をとる必要がでてきます。
私が勤務する訪問看護ステーションではオンコール体制の当番があります。
夜間や休日にも緊急時対応できるように、訪問看護のスタッフが交代で緊急電話を持ちます。
その内容は、営業時間外の体調の変化を告げる電話、もしくは看取りの連絡であったりします。
利用者の体調の変化はいつ起きるかわかりません。
当番の日は帰宅してもやや緊張感がありながら家で過ごすことになります。
当番制なので毎日ではないのですが、やはりプライベートを犠牲にすることになります。
土日に電話当番になると遠出はできません。
近所のスーパーくらいなら行くことはできます。
いつ電話が来ても訪問できる態勢にしておかなければなりません。休みであっても休みではないです。
仕事外での拘束なので、プライベートを重視する方にはやや不向きになるかもしれません。
でも頑張った分はお給料に反映されるので、一辺倒ではない部分を好む方には良いですね。
夜勤がなく日勤のみで比較的高給与で働けるのはとてもうれしいものです。
例えば病棟でどんなに忙しくても、どんなに良いケアを行えても特に手当てがつくわけではありません。
緊急電話の当番は拘束された分はしっかり反映されるため、この制度を好む看護師もいらっしゃいます。
小規模の訪問看護ステーションのオンコール体制の例
私が勤務するステーションでは管理者が1名、看護師が2名の計3名です。
一人の看護師は家の事情で緊急電話を月に2~3回ほどしか持ちません。
あとは管理者と私で回しています。
その結果、月の半分は当番に当たっているわけです。
基本土日はお休みですが、当番になっていると電話を持っているだけで仕事モードから抜けられない状態になります。
なので、お出かけしたい!と思ってもできないのが現状です。
当番は事前にわかっているので、あえて予定を入れることもないですが、
お天気が良かったりすると残念・・・と思います。
また、セカンドコールといってメインの電話当番の人がなんらかの理由で取り損ねると、セカンドに転送されます。
緊急訪問はありませんが、やはり拘束されている感覚はあります。
しかも私の所属する訪問看護ステーションでは、セカンドコール手当はありません。
管理者と私は交代で緊急電話とセカンドを持っているので、結局常にどちらかを持っていることになるので、少々疲れます。
緊急コールはいつかかってきてもおかしくはありません。
息をしていない、いつもと様子が変だなど利用者さんの体調変化に時間は関係ありません。
夜中や明け方にかかってくることが多いような気もします。
そのため、ターミナルの方がいたり、夕方の申し送りの時に状態が思わしくない方がいると帰ってからも利用者さんのことを考える時間がとても多いです。
夜寝る時にも「大丈夫かな、眠れてるかな。」と心配になることもあります。
また、自分が熟睡してしまって電話に気が付かないのではないかと気になることもあり、こちらも眠れなくなる時もあります。
そんな時間の訪問はとても大変ですが、やりきったという充実感はとてもあるので終わった後の疲労感はあまり感じません。
ただ、小規模の訪問看護ステーションだと、夜間早朝の訪問があっても日勤の仕事は変わりなくあります。
小規模の訪問看護ステーションのオンコール体制の大変さ
訪問看護を始めた頃はこの状態が続き、不眠になったこともありました。
仕事で体を壊すことは絶対にしてはいけないことだと常々考えていたので、仕事を辞めようか、訪問看護は自分に合っていないのではと考えたこともあります。
訪問看護ステーションのオンコール体制のやりがい
ある利用者さんのご家族が病状の変化に気づき夜中に連絡をしてきました。
どうしていいかわからず、ご家族も不安の中にいます。
訪問したほうが良いと判断し伺いました。
特に救急で病院にというわけではなく、自宅で経過観察となりましたが、ご家族はとても安堵されていました。
「本当にどうしていいかわからなくて、夜中にすみませんでした。でも安心しました。ありがとうございました。」
と言われたときに、訪問看護師としての仕事の大変さややりがいを感じました。
医療職外の方にとって、自宅療養されるご家族がいると今現在どういう状況であるか判断しにくいと思います。
看護師に「大丈夫」と言われたら、それだけで安心できる材料となります。
利用者さんやご家族が安心して家で過ごせるようお手伝いするのが訪問看護師です。
多少なりとも自己犠牲の上に成り立っているといっても過言ではありません。
でも1年前の自分より今のほうが格段に成長し、レベルアップしていると実感できます。
緊急電話に連絡が来た場合の対応方法
このように電話が来た時点で、今現在の症状などを伺い訪問すべきかどうかを判断します。
その方の原疾患を考慮し、同じ発熱でも解熱剤を内服していただいて様子を見てもらうケースや
訪問してバイタルを取り、病院受診もしくは救急搬送しなければならないかを判断します。
様子見になる場合は時間をおいてから、利用者さんへ体調の変化がないかを連絡します。
もしくは悪化するようなら再度連絡をもらうよう説明を行います。
救急搬送やすぐに受診していただきたい場合は、こちらから連絡を入れます。
救急隊員への説明はもちろんのこと、ご家族にも利用者さんが今現在どのような状態であるか、お医者さんの診察の際に見せていただけるようにメモをお渡しします。
メモを渡すことで、ご家族も少し安心してくださっている様子も見受けられます。
判断できない内容だった場合の対応方法
また判断ができかねる際は管理者へ連絡し、指示を仰ぎます。
私自身、一般科の知識が乏しいこともあり、連絡してしまうことが多いです。
しかし、それもすべて利用者様のためです。
管理者の方には申し訳ないと思いますが、自分ですべて判断するのはまだ難しいと考えてしまいます。
日ごろから管理者の方には感謝の気持ちでいっぱいになります。
でも、訪問の度に私自身のレベルがUPしていることは間違いないです。
こうやって看護師としてのレベルを日々UPしていけるのはとてもうれしいですね。
オンコール体制のまとめ
オンコール体制(緊急電話)があることで、利用者さんやご家族は安心して自宅療養することができます。
私も体調が悪かったら不安な気持ちになります。
安心してゆっくりと休みたいと思います。
なので、訪問して体調が思わしくない利用者さんがいたら必ず連絡をするよう伝えます。
つらいのを我慢してほしくはありません。
安心してゆっくりと休んでほしいと思います。
私もいつかは高齢になり、訪問看護を利用するかもしれません。順番かな?と思うこの頃です。