当訪問看護ステーションでは、小児の訪問も行っています。
脳性麻痺の赤ちゃんや心疾患の赤ちゃんさまざまなですが、お母さんも子どもも頑張っている姿を見て勇気づけられ、また自分の子供のようにうれしくもあります。
そんな脳性麻痺のお母さんに言われたショックな一言があります。
その言葉から、お母さんの本当の気持ちを知ることが出来たのです。
脳性麻痺児を持ったお母さんはかわいそうですか?
私たち医療者は、脳性麻痺児やそのお母さんにも接する機会は少なくありません。
そのため、ある意味なれている、決してかわいそうとは思っていません。
確かに医療的ケアが必要、発達が遅れているという現状があると、大変だなあ、少しでも応援できたらという気持ちで接しています。
しかしお母さんはひとたび外にでれば、じろじろ見られるのはもちろん、健診などに行ってもいろいろ聞かれるので、まるで自分が悪いと感じてしまうそう。
訪問看護師と話をするとき、こんなことがあったといろいろな話をしてくれるお母さんですが、やっぱりその中でもこのようなショックな出来事があったと聞くことは多いです。
そのようなことをきっかけに引きこもりになるお母さんも少なくありません。
しかし子どもは社会に出てほかの子どもと接するのも大切なこと。
またいずれは幼稚園、学校などと教育の場に出ていくようになるので、やはり自宅に閉じこもるだけではなく、どのように外に出る機会を増やしていけるか?
どのようにお母さんの負担を感じることがなく外出できるかということを考えていかなくてはいけないと考えています。
「お母さんを選んで生まれてきた…」なんていわないで
始めの訪問時にこのように言われたことがあります。
よく人から励まされるときに、「○○さんだから、この子が安心して生まれてきたんだよ。あなたなら大丈夫、乗り越えられる」といわれることも度々あるそう。
でもお母さんはたまたまそうなっただけで、まだ受容が出来ているわけではない、いつだってなぜ?と自問自答しているから、こんな言葉を言われたら、本当に嫌、人間不信になるといわれたのです。
このように誰にだって言われたくない言葉はあるでしょう。
では訪問看護師としてどのようにかかわるのが一番なのでしょうか。
それはお母さん、子どもの良き応援者、理解者になることなんです。
お母さんだからとかこの子だからというのは関係ありません。
ただお母さん、子どものそばに寄り添い、頑張っているねと認めてあげることが大切なのです。
訪問看護師がご家族に接するとき、大切なのはその子の命、健康であることはもちろん、家族全体の生活を見据えていくことも大切です。
子供はいつだってお母さんの明るい顔が見たいのです。そしてお母さんはケアには手がかかるけれど子供の笑う顔を見たいのです。そんな環境が維持できるように訪問看護師としてかかわっていくことを目標にしています。