
私たちには、信仰する自由があります。
そのため利用者様のお宅に行くと、宗教の匂いがプンプンするということもあるのです。そんな宗教の話をしてみたいと思います。
オムツ交換の時にわかる宗教
信仰の自由なので、私たちが特別に宗教について質問することはありません。
ただ自然と感じることがあるのです。
新聞より宗教が判明する
その感じる機会の一つが新聞です。
私たちが訪問看護を始めると、オムツ交換の機会が多く、汚れたものを包んで捨てるために新聞紙を用意してもらいます。
その際、○○新聞といった宗教の新聞があると、この人の宗教観を知ることが出来るのです。
またそのような宗教に絡んだ新聞紙は、たとえおいてあってもオムツを包むのには使用しないように心掛けています。
信仰の厚い人の中には、使用されるのをよく思わない人もいますからね。
亡くなった時にわかるその人の宗教
私たち訪問看護師は、その方をご自宅で看取ったら終わりというわけではありません。
亡くなったご家族のケアの一つで、葬儀にも出席することがよくあります。
たいていの方は、地域の葬祭場で行われることが多いのですが、その場合でも宗教観がよく表れた葬儀が行われるのです。
例えば、焼香の回数の違い、手を合わせる時に音を出さないなど、葬儀に行って初めて分かることもあります。
もちろん訪問看護師として参列する時には、その宗教のやり方に沿うように努力をします。ただ世の中にはいろいろな信仰があるなと少し不思議な気分になることも多いです。
宗教は心の支えになる
宗教を信仰することは自由だといっても、宗教の話を個人的に、またはみんなの前で行うというのは、抵抗があることです。
そのため本当になくなるまでこの人がどんな宗教を信仰しているのかということがわからないこともあります。
また日本では何か行事の時や人生の節目においてその宗教行事を大切にすることもありますが、それ以外は全く意識しないで生活するということも少なくありません。
そんな宗教ですが、実は信仰心の厚い方にとっては、心の支えになるものなのですね。
例えばもう治療の施しようがなく、後は残された人生を穏やかに過ごすためにどのようにしたらいいのかということを考えたとき、死が目の前に迫っていることから、絶望感や恐怖感を感じる人は少なくありません。
しかし心の支えがあると、少し意識を変えることが出来たり、勇気をもらうことができ、これからの残された人生を有意義に過ごしたいと思うことが出来るようになるのです。
私は訪問看護師になり、利用者様から宗教観を感じることが多くありました。
宗教という言葉には抵抗のあった私ですが、それが利用者様の支えになるのなら、やっぱり必要なことですし、それを尊重してあげたいなといつも思って接しています。