
皆さんは、次のような事を聞いたことがありますか?
「訪問看護師は慢性的に不足しているので、一般的に給料は高めに設定されています。」
しかし、実際に訪問看護ステーションに転職した人のアンケート結果を見ると、意外と給与アップした人は半分程度です。
では、訪問看護ステーションの給与は、一般的にどのような方法で決められているのか?
について検証をしてみたいと思います。
また、訪問看護ステーションに転職して給与がアップした人、逆に給与がダウンした人を具体例(体験談)も見ていきたいと思います。
ご自身が訪問看護ステーションに転職する場合の参考になると幸いです。
ぜひ、読んでみてくださいね。
訪問看護の給料相場
訪問看護の給料相場は、病棟で夜勤をこなしているのと同等くらいの給与相場と言われてます。
月収の相場ですが、正社員として働いた場合、手取りで20万~28万円と言われていますが、都心部などになると月収30万~40万といった所も存在しています。
パートの場合、時給制や訪問件数によって金額が設定されているなど、様々な給料形態があります。
大きな訪問看護ステーションや病院系列訪問看護ステーションだと、看護師の経験年数を給与に加味してくれる傾向も強いです。
訪問看護ステーションの給与の構成要素
訪問看護ステーションにおける給与は、主に3つの項目に分けられると思います。
給与=基本給+資格手当+役職手当です。
そしてそれ以外に、諸手当が加算され全体の年収が決定します。
基本給
給与の最も基本となる部分です。
通常、給与は規定により決められています。
「年功給」、「職務給」、「年功給+職務給」など、いろいろな決め方のパターンがあります。
小規模の訪問看護師ステーションだと、基本給として一律の場合もあります。
資格手当
看護師という資格について支払われる手当です。
一般的に専門看護師などを得ていると、更に手当が増える場合もあります。
また、理学療法士・作業療法士などの看護師以外の専門職では、看護師より手当が減る傾向が高いです。
役職手当
管理職・役付者に支払われるもので、管理職手当、職責手当などの呼称があります。この手当は、他の職員よりも職務遂行上の責任や役割が重いということに対して支給されるものです。
訪問看護ステーションは、訪問看護サービスを実施する事業所ごとに、専従の管理者(常勤)を配置しなければなりません。
そのため、多くの訪問看護ステーションでは、金額の差はありますが管理者には管理職手当がつくことが多いです。
諸手当
諸手当としては、その人毎の違いであり通勤手当や、月単位で支給が異なる訪問回数手当・残業手当・オンコール手当が一般的です。
他にも住宅手当、家族手当などが支給されることもありますが、これらは訪問看護ステーションによって、千差万別です。
訪問看護ステーションの訪問回数手当とは?
月の訪問回数で一定数を超えた場合に、給与に加算する場合もあります。
これも訪問看護ステーションによっては決め方がバラバラです。
1回の訪問で〇〇円と言うのもあれば、月に〇0件以上で1件〇〇〇円加算と言う決め方もあります。
私の確認している限り、月80件程度を超えた数から支給される事が多いような気がします。
残業手当、訪問看護ステーションでの残業とは?
残業についても会社によりますが、普通に正社員として働く場合、ある程度はあると思っておいた方がいいです。
スタッフの人数の割に利用者さんが多い訪問看護ステーションでは特に残業が多くなるので注意が必要です。
訪問件数が多いと記録などを時間内に終わらせることが難しく、特に報告書を書かなければならない月末は忙しい傾向があります。
夕方以降に訪問が入ることもあります。
訪問看護ステーションはどこも人手不足なので、勤務時間について柔軟に対応してくれるところも多く、残業できる時間に限りがある場合は入社前に相談しておくといいと思います。
年収がダウンしてしまう例として、家事との両立のため残業はしないという契約で働く人もいます。
この場合は、時間内に記録までを終わらせることになるため、訪問の件数を調整してもらうなどの必要があります。
当然、残業代はほぼ発生しませんし、件数などで手当てがつく場合があっても該当しないため、年収はダウンする傾向が高いです。
オンコール手当、訪問看護ステーションのオンコールとは?
オンコールとは、24時間対応体制をとっている訪問看護ステーションにおける夜間や休日の待機業務のことです。
会社の携帯電話を自宅に携帯電話を持ち帰り、時間外に事業所にかかってきた電話を持ち帰った携帯電話に転送し、対応する体制のことを指します。
オンコールの体制は会社によってさまざまで、スタッフ全員で順番に当番をやる場合もあれば、対応可能な一部のスタッフだけで行う場合もあり、中には管理者のみで対応しているところもあります。
当番の人が電話対応から緊急訪問まですべて行うやり方の他に、当番が複数人いる場合や、電話対応のみの当番を置いている場合もあります。
電話が鳴る、鳴らないにしても、電話を持ち帰るだけで手当が付きますし、もちろん緊急で対応することになり、訪問することになればそこで手当が発生します。
つまり、オンコール勤務を行えば電話が鳴る・ならないに関係なく手当が付くことがおおいです。
オンコールのデメリットとしては、
慣れないうちには何時電話がかかってくるかどうかで落ち着かない。
遠くにお出かけすることができない。
いつでも緊急で訪問できる体制を取っていなければならない
など、自宅にいても緊張する場面が増えることは確かです。
そのため、月にどのくらいのオンコール頻度なのか、どのくらいの頻度で電話がかかってくるのか、出動するのかなど事業所によって変わってくるので、確認しておきたいポイントでもあります。
オンコール手当の金額は1回につき1,000円~5,000円くらいが相場です。
私の知っている小規模の訪問看護ステーションでは、オンコールの頻度が少ないため700円と言うところもあります。
実際にオンコールの頻度などにより金額が調整されるようです。
オンコール手当が高い場合は、夜間の対応頻度が高いと言う認識でいてください。
危険手当
医療処置を1人で行うリスクや精神疾患を抱える利用者を1人で訪問するリスクがあるため、危険手当という手当がもらえます。
ただ、危険手当があるかどうかは訪問看護ステーションによります。
早朝・深夜の勤務手当
その他には、勤務時間外で早朝や夜間に訪問した場合にもらえる早朝・深夜手当があります。
訪問看護ステーションよる給与の決定方法
訪問看護ステーションの給与の決定方法として、大きく2つの方法があります。
それは基本給と資格手当の割り当ての違いです。
ひと月にもらえる給料が同じくらいでも、中には基本給が低く、資格手当などの手当が高いという会社もあります。
基本給と資格手当の割り当ての違いの具体例
例えば「基本給20万円(資格手当なし)」の会社と「基本給15万円に看護師手当6万円(合計21万円)」の会社を比べると、月収は後者の方が若干高くなります。
しかし、ボーナスは前者の方が高くなる可能性があります。
(ボーナスは「基本給〇か月分」と計算されるため)。
その結果、年収として考えると前者の方が高くなることがあるので注意が必要です。
ボーナス(業績給)の注意点
一般病棟やクリニックなどで働いていた頃は一定の額をもらえるのが当然のように思っていたボーナスですが、訪問看護師の場合は会社の業績に左右されます。
小さな会社が経営する訪問看護ステーションの場合は特に、業績が振るわずボーナスを満額もらうことができない場合があります。
地域による給与の差
訪問看護師に限らず看護師の給料は地域によって変わります。
これは訪問看護ステーションの報酬が地域の区分によって報酬単価に加算があるからです。
同じ地域にある訪問看護ステーションであれば、規模の大小などの差異もありますが、給料にそれほど大差はありません。
訪問看護ステーションでの賞与や昇給はあるのか
大概の訪問看護ステーションであれば、賞与も昇給もあります。
しかしながら、月給が高い分、ボーナスが支給されなかったり、経営状態が安定しない小規模の訪問看護ステーションだとボーナスも昇給もないといったこともありえますので、入職する際には是非とも確認しておきたいポイントです。
給料をアップさせる求人の選び方
経験上、基本給の高い事業所は仕事内容もハードな傾向にあります。
基本給が高いということは賞与もそれなりにもらえるということになりますので、ハードでも給料をたくさんもらいたいと考えている方は、是非とも基本給の高い所を探しましょう。
訪問看護は月末に忙しくなりがちです。きちんと残業代が支給されるのかどうかも確認してください。
賞与・昇給制度の有無もそうですが、それ以外に重要なのは、交通費や社会保険、厚生年金など福利厚生の部分です。
病院や大規模な訪問看護ステーションであれば、このあたりは確認しなくてもいいところではありますが、小規模の訪問看護ステーションだと福利厚生がしっかりしていない企業も存在しますので、ご注意ください。
実際に訪問看護ステーションの転職した人の体験談
給与がアップした人の例1
月によって変動しますが、給与は上がりました。
資格手当が前職より増えたので、年間30万くらい増えました。
また、現在は、子供が小さいのであまり訪問回数を増やさないように調整していますが、
夜間の訪問やオンコールをすればもっと増えるとは思います。
訪問看護ステーションは、意外と自分で給与の増減が調整できるので、
子育てが一段落したら、教育資金をためたいので前職と同じくらい働きたいと思います。
給与がアップした人の例1
月によって変動しますが、給与は上がりました。
資格手当が前職より増えたので、年間30万くらい増えました。
また、現在は、子供が小さいのであまり訪問回数を増やさないように調整していますが、
夜間の訪問やオンコールをすればもっと増えるとは思います。
訪問看護ステーションは、意外と自分で給与の増減が調整できるので、
子育てが一段落したら、教育資金をためたいので前職と同じくらい働きたいと思います。
給与がアップした人の例2
私はクリニックから訪問看護ステーションに転職しました。
元々残業をあまりしていない職場だったので、年収は増えました。
ただ、意外と残業が多いので、残業を除けば、そんなに変わらないと思います。
給与が変わらないと言った人の例
給与はほとんど変わりません。
時期によっては手当てがあり上がりますが、その時だけです。
オンコールなどもあまりしていないので、時間の融通が利くので助かっています。
給与がダウンした人の例2
時間の拘束が緩くなった事もあり、給料は減りました。
以前は透析科のクリニックに所属しています。
月にして3~5万円、ボーナスは10万円ずつ下がりました。
ただ、その分、ワークライフバランスは良くなりました。訪問の回数をこなせば、調整する事が可能になりました。
子どもが病気で休みたい時には休み、代わりに他のスタッフに行ってもらい、その方の勤務を他の日に私がこなすと言う事で後ろめたさが減った状態で看病に集中させてもらっています。
非常勤の給与の構成
訪問看護には非常勤の求人も多くあり、アルバイトやパートの時給も一般病棟などの他の職場より高めに設定されていることが多いです。
パートやアルバイトの給料は時給制が一般的ですが、中には「訪問1件当たり〇〇円」という設定をしているものもあります。
時給制の場合の注意点
時給制の場合、訪問看護ステーションによっては、訪問サービスを提供している間だけが時給の発生要素としているところもあります。
そのため、記録や申し送りにかかる時間に給料が発生するかどうかについては、必ず事前に確認しておいた方がいいと思います。
訪問件数報酬の場合の注意点
訪問件数報酬の場合、働く曜日や時間を選びやすいというメリットがある一方で、訪問先が遠いと往復に時間がかかり、拘束時間の割に給料が低くなる可能性があるので注意が必要です。
そのため、可能なら訪問地域をはじめから限定して契約をする事をお勧めします。
訪問看護ステーションの給与のまとめ
如何でしたでしょうか?
訪問看護ステーションの給与の一般的な構成をまとめてみました。
訪問看護ステーションに転職する際に、給与の増加を見込んでいる人も多いと思います。
しかし、実際には給与が上がるかどうかは、現職での労働条件次第になることが多いいです。
訪問看護でも、オンコールをやればその分高くなり、残業の多い会社では残業代の分高くなります。
したがって、前職で残業代が多い人は、給与が減る傾向があります。
しかし、ワークライフバランスや、仕事のやりがいと言ったことで満足する人も多いため、
ご自身が何を求めているのかを考えてみてください。
特に、訪問看護ステーションの給与としては、資格手当などの割り当てにより賞与が変わってきます。
面接時にきちんと給与体系を確認してくださいね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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