台風が来る!しかも直撃する可能性も!という場合は、家族も看護師も数日前から情報収集、そして台風対策を始める必要があります。
通常のご家庭なら問題ありませんが、呼吸器、酸素を使用している場合、寝たきりの場合は台風で停電や浸水になったら困ります。そんなことも予測しながら準備を始めるのです。
訪問看護師が、必ず行っておくべき台風などの災害準備とは?
台風が直撃する可能性もあるとなった場合、停電の心配が一番大きいです。その場合、呼吸器や酸素を使用している利用者さんは、命にも直結する事態に。
そこでできる対策として
①希望があれば、避難、レスパイトも兼ねて、あらかじめ医療機関に入院をする
②自宅で過ごす場合には、酸素ボンベ、呼吸器のバッテリーなどを多めに準備する
ということを実施しました。
今年は大きな台風が2つも日本にやってきましたが、幸いにも私たちの訪問エリアでは家屋の浸水被害は免れました。
しかしはやり呼吸器装着中の利用者さんの自宅では停電がありました。
幸いにも数時間で復旧したため、用意しておいたバッテリーなどで十分対応できましたが、それ以上長くなれば入院の可能性もあったと思います。
停電は家族にとっても不安が大きいです。
家族の中には、電力会社と直接やり取りをしてバッテリーを借りることが出来たというおうちもありました。
それも事前に訪問看護と電力会社が情報交換をして呼吸器を使用している人がいるということを伝えていたから、対応が早かったといえます。
台風の日の訪問看護の対応
訪問看護も24時間体制で緊急対応している場合は、休みはありません。
しかしステーションの管理者としては、スタッフの安全に配慮することも大きな任務です。
そこで台風の日は、常にニュースをチェックし、これからの予測を立て、なるべく台風が近づく前に訪問終了するように行動計画を立てます。
もしも午後からが一番雨・風がひどくなるようだったら、午前中のうちに訪問を終了させスタッフは帰宅させるといったように。
訪問日を変更するということはめったにありませんが、台風の場合は、家族も理解しているため、変更をお願いします。
もしも週一回の定期訪問で緊急性がない場合は、台風の翌日に訪問を変更する場合もあります。また毎日訪問し、処置が必要な場合などは、午前中の早い時間に訪問することもあるのです。
これらの調整は、ステーションの所長が行うことが多いですが、やはり利用者、利用者家族、そしてケアマネージャーなどと信頼関係が出来ているからこそできることなのだと思っています。
また台風前に訪問したときには、
懐中電灯はあるか?
すぐに食べることが出来るものはあるか?
お水などはあるか?
避難所はどこか?
ということを確認しておきます。
さらに独居で移動に介助が必要な場合は、交流のあるご近所の方に声をかけておいたり、ケアマネージャーと協力する場合もあります。
台風になると情緒不安定になる介護者
利用者で台風前に少し情緒不安定になるという人がいますが、中には介護者も同様に情緒不安定になることもあります。
例えば8050問題で取り上げられるような高齢者の自宅に50代くらいのニートがいる時などは、家族からの不安の連絡が来ることがあります。
利用者さんの状態に緊急性があれば、台風の中でもすぐに訪問はします。
しかしながら、緊急性がない場合は、とりあえず話を聞いて落ち着いてもらい、後で訪問するということもあります。
また勤務時間外であれば、待機は自分であってもすぐにはいけないので、一番近くに住んでいるスタッフに様子を見に行ってもらうということもあります。
私たちは、利用者さんのことを第一に考えて動きますが、やはり安全性も考えて行動することも重要です。
そのため台風が一番ひどいというときには、電話で様子をうかがいながら対応するということも多いのです。
台風でパニックになった利用者さんの体験談
今回の台風では、パニックになった利用者さんの家族から一本の電話がありました。
「水がどんどん入ってくる!」といった電話でしたが、その周りには河川の氾濫状況などは確認できません。また土砂災害が起こる場所でもないので、どうしてかと思ってよく話を聞くと、横殴りの雨が窓の隙間から入ってくるということでした。
車いすでも生活できるように、スロープからリビングに入るまでバリアフリーになっており、その窓の隙間から水が入ってきたようでした。
一番雨風がひどいときであり、すぐに向かうことも危険です。
また浸水ではないので緊急性はないと考え、とりあえず落ち着いておむつなどを窓際に引いて対処することを説明しました。
そして少し雨風が治まったころに訪問し確認をしました。
やはり室内には雨が入り込んでいましたが、おむつを引いていたおかげですぐに片付けることもできました。そして安心して夜を迎えることが出来たのです。
まとめ
上記のように、台風の時には、やはり利用者さんや家族の連絡があってもすぐに行くことが出来ない場合もあります。
理想としては、24時間対応の訪問看護ステーションであれば、すぐに駆け付けるということが大切なのでしょう。
しかし緊急性と家族の理解や協力も考慮すると、台風の時には、自分たちの安全を守るためにあえて待機をするということも少なくないのです。