訪問看護の仕事

訪問看護をしていると、中には不定愁訴の強い利用者さんがいます。
検査を行っても何も異常は見つかりません。

しかし、ご本人のお腹が痛い、頭が痛い、おしっこが出ないなどの訴えは止まりません。
異常が見つからなくても、ご本人にとっては現実の痛みや苦痛であることには変わりません。

この方は緊急電話をならすこと頻繁にあり、看護師も疲弊してしまうほどでした。
特に異常がなかった訪問日の夜に不穏になることも多かったです。

今回はこのような利用者さんの対応についてお話ししようと思います。

訪問看護での不定愁訴の強い利用者

 Aさんは70代の方です。夫とふたりで暮らしています。
子どもはいません。元々こだわりの強い性格であったようです。

隣の家の物音にも敏感であり、Aさんが不穏になるためたびたび苦情を言いに行っていたとご主人は言います。
ほぼ寝たきりであるため周囲の音にも敏感になってしまうようです。

 既往歴も心疾患や糖尿などもありますが、落ち着いておりこれらの症状観察も行っていますが、ほぼ問題なく経過しています。

訪問看護での主要な対応内容

Baカテーテルを入れており、それらに対しての症状観察を主に行っています。

排泄に対してのこだわりも強く膀胱の刺激症状の訴えは頻発し、膀胱洗浄をしないと落ち着きません。
混濁もなく流出も良好です。ケアを行う必要がないと説明しても納得しません。
詰まるのではないかという不安のほうが強くなり、夜間の緊急電話が多くなります。

そのため、やる必要はなくても本人の気持ちを安定させるために実施しているといっても過言ではありません。
不必要な処置は行いたくないのは当然なので、時にはリスクを伴うことであると説明を行ったりもします。

説明を行ってもその場では納得する様子はありますが、徐々にやらなかった処置に対しての思いのほうが強くなり不穏になってしまうのです。

辛い不定愁訴に頻度

ひどいときは1時間とあけず電話をしてくることがあり、仕方なく訪問すると訪問することで安心する様子がありました。

緊急訪問してもVSも何も問題はないのです。

連絡してくるのはご主人であることが多いため、ご主人への指導も大切です。
高齢であること、医療的な知識が少ないことを踏まえた上で、紙に状態とケアの行い方を記したりもします。

例えば尿が出ないと訴えた時には、Baバックの尿量を知らせて安心感を与えてください、など。ご夫婦そろって理解力が乏しいのはとても骨を折る作業になります。

不定愁訴の強い利用者へ訪問看護師として対応した内容

 こうした利用者さんには傾聴し、その思いに寄り添っていくのがとても大事です。
と言いたいところではありますが、看護師の健康も守らなければなりません。

夜中に1時間おきに連絡をされるとさすがにイライラもしてきます。
なので、時にはきつく朝まで待てる状態であること、日中の状態が問題なかったこと、最終的には利用者はあなただけではなく、ターミナルの利用者もいることも伝えていきます。

理解していただけるまでとても時間を要しましたが、少しずつでも理解が得られるようになると経過を見るのも徐々に楽しみになってきています。

また、利用者さんが理解して夜間も含めて電話の回数が減ってきていることをフィードバックしていくのも利用者の肯定感を引き出せるようになるのでお勧めです。