
今回は、訪問看護師が、実際にどのような流れで1日の仕事を行っているのか紹介します。
私の勤めていた訪問看護ステーションでは、日勤は9時から18時までの勤務でした。
私は日勤のみという契約で勤務していましたが、早朝や夕方以降に訪問が必要な利用者さんもいるので、対応できるスタッフが早番勤務や遅番勤務も行ってくれていました。
全員で情報共有
朝は出勤するとまず、管理者とスタッフ全員で情報共有を行います。
全員が集合していられる時間は限られていますから、このミーティングは長くても30分程度です。
それぞれの利用者さんについての細かい情報は記録を見れば分かるので、どうしても伝えておきたい重要なことだけを共有するようにしていました。
具体的な共有内容
具体的には、状態が大きく変わった利用者さんについての申し送り、利用者さんのご家族やケアマネージャーからの要望、新規の利用者さんについての情報などです。
自分の1日の割り振りの確認
その後、それぞれのスタッフが自分の1日の割り振りを確認します。
私のステーションでは、1日の訪問件数は5~7件(午前中に2~3件、午後に3~4件くらい)でした。
利用者さん宅への通常の訪問の他、担当者会議や退院カンファレンスに出席することもあります。
割り振りは利用者さん宅までの距離や訪問にかかる時間などを考慮して管理者が行っていましたが、問題なく時間通りに訪問することができそうか、改めて自分でも確認していました。
訪問の開始
確認が終わると、それぞれのスタッフが訪問を開始します。
社用車で訪問を行っているステーションが多いと思いますが、私はよほど悪天候でない限りは自転車で訪問していました。
都市部にある訪問看護ステーションの場合、訪問を行う範囲がそれほど広域でないことと、駐車場を確保するのが難しいことなどの理由から、自転車で訪問を行っているステーションは私たちの他にもいくつかありました。
1日の訪問回数や1件当たりの訪問時間
1件当たりの訪問時間は、特別な理由がない限り30分~1時間半と決まっています。
1日の訪問件数が5~7件くらいだと、移動にかかる時間にもよりますが、
「急がなければ次の訪問に間に合わない」という事態にはなりにくいと思います。
訪問中のトラブルなどで多少延長することになっても大丈夫なので、気持ちに余裕があり、ゆっくり利用者さんと接することができます。
1日の訪問件数が7~8件を超えてくると、余裕を持って訪問するのが難しくなってきます。
またそれくらい訪問を行うとなると、超勤も避けられなくなってきます。
訪問の依頼は多い時期と少ない時期がありますし、忙しさに波があるのはどのステーションでも同じだと思います。
曜日によっても忙しさに偏りがあり、例えば土日祝日は対応できる訪問看護ステーションが少なく、デイサービスや訪問介護などもお休みである場合が多いので、営業しているステーションに依頼が集中する傾向がありました。
ただ、中には訪問件数に対して慢性的な人手不足に陥っていて、毎日のスケジュールが非常にタイトになっている訪問看護ステーションもあるので注意が必要です。
昼食の取り方
昼食はほとんどの場合、訪問の合間にステーションに戻って食べていましたが、訪問先が遠い場合や、次の訪問までの時間があまりない場合はコンビニなどで済ませることもありました。
訪問時間をきちんと守れば、もちろん常識の範囲内での話ですが、訪問途中で買い物などの寄り道をしても問題ありませんでした。
訪問記録の作成
記録は訪問と訪問の間に時間があいた時や、1日の訪問が終わったあとにステーションに戻って行っていました。
5~7件分の記録を書くのはそれなりに時間がかかるのですが、私の勤めていた訪問看護ステーションでは、パソコンやタブレット端末から使える電子カルテのようなシステムを導入していたので、紙カルテに記載するよりは楽でした。
訪問看護の記録は今でも紙カルテを使用しているところも多いですが、できれば電子カルテを採用しているステーションを選ぶことをおすすめします。
社用のタブレット端末を持ち歩くことで、前回までのバイタルサインの一覧や、内服薬の内容、ご家族の連絡先などを訪問先でも簡単に参照できますし、褥瘡の状態などを写真に撮って残しておくこともできます。
また訪問看護計画書、報告書なども同じシステムで書くことができました。
管理者へ1日の申し送りを行い業務終了
記録が終了したら、管理者に1日の申し送りをします。
私の場合はほとんど毎日、定時までに記録を終えて退勤することができていました。
このように、訪問看護師は勤務中の多くの時間を単独で行動することになります。
一人になる時間が多いということは、いざという時に頼れる人がおらず心細いというデメリットでもあるのですが、気楽だと感じる部分でもありました。
特に利用者さん宅までの移動の時間は、誰の目もない一人になれる時間であり、そのような時間が多いのは訪問看護師のメリットだと私は感じていました。